ある研究によると、末期がんと宣告された患者の統計をとり
1最先端のがん治療をしてくれる病院に行く、今まで以上良い治療法がないかいろいろと調べるなどありとあらゆる治療にチャレンジするなどして徹底的にがんと闘う場合。
2「末期がんになってしまったのだからしょうがない」と病気を受け入れ、残りの人生を大切にやりたいことをして生きる場合。
ではがんと闘わない方が長生きしたという研究結果が出たのです。
闘うことは大きなストレスになり、コルチゾールなどのストレスホルモンが分泌され、このコルチゾールには免疫抑制作用があり、がん免疫も低下させます。
取り除ける原因に対しては、もちろん努力して取り除くことがベストですが、取り除けない原因と真っ向勝負しますと、原因は取り除けないばかりかストレスが増大し、より苦しくなってしまいます。
ですから絶対に取り除くことができないストレスには闘うのではなく、受け入れるのが対処法です。
日本人はどんなことでも、頑張れば何とかなる、諦めないで最後まで闘う、このような精神論が大好きですが、場合によっては苦しさや逆効果もあることを認識しなければなりません。
あきらめるという意味は「思い切る、仕方ないと断念したり、悪い状態を受け入れたりする」です。
子どものころからの夢だったのが、できないから「あきらめる」というふうになるとネガティブに捉えがちですが、本来、あきらめるというのは仏教で「明らめる=明らかにする」です。
つまりあきらめるは、できるかどうかを見極めできないとわかったなら、やらないという一種のポジティブ選択です。
何事も諦めずに頑張ることはお勧めしません。
絶対にできないことに労力を使っても意味がないからです。
メンタル疾患でよくなる人と、良くならない人が大別されます。
1メンタル疾患がよくならない人
治療をあせってしまう人
2メンタル疾患が早く良くなる人
治療をあせらず、病気とつきあっていくかと考えることができること
カウンセリングでも叱りです。
1度や2度のカウンセリングで悩みをきれいさっぱりなくすのは不可能です。
「闘い」から「受け入れ」の方向チェンジが必要です。
受け入れることができるようになった人は非常に強いです。
このような発想は病気以外にも適用することができます。
変えられないのに変えようとするのには非常に労力を要しますし、ストレスがかかります。
その「悩み」「問題」を受け入れたら、苦しい感情がフラットになります。
「受け入れる」とは、「闘うこと」をやめることと同じ意味です。
「腹をくくる」とか「ジタバタ」しないと言ってもいいと思います。
「受け入れる」と正反対なのが「敵対する」です。
「敵対心」は非常に苦しめます。
なぜならば、敵対心が強いと、ストレスホルモンであるアドレナリンとコルチゾールが分泌されるからです。
敵対心が強い、何事にも腹をたてて、イライラする、他の人と自分を比較して敵対心を燃やす、そういう人たちの25歳から50歳までの死亡率は、敵意を習慣的に持たない人と比べて4倍ないし5倍も高くなるそうです。
敵意が強く、よく他人を攻撃する人、そういう人は人に「苦しい」をぶつけているようで、実は自分自身を「傷つけ」、より「苦しい」状況へ追い込んでいます。
病気を受け入れる、ストレスを受け流す、口で言うのは簡単ですが、そう簡単にはいきません。
そこでストレスを「受け入れる」のではなく、「ストレスを受け流す」と考えてはどうでしょうか?
手で思いっきりコンクリートの壁をパンチしてみてください。パンチするのが嫌ですよね、どんな結果になるかわかるからです。
きっととても痛いし、場合によっては骨折するかもしれません。
しかし、バネを用意します。
細長く、いかにも弱弱しいバネに対して思いっきりパンチをしたとします。
バネはビヨーンとしなり、プルプルしながらあなたのパンチに耐えています。
ほとんどの人は、ストレスに対して真っ向勝負で真剣に取り組み、何とかしようと必死になっています。
そこで自分の心を「バネ」にしてみましょう。
ストレスを受けても、ビヨーンとしなり、また元の状態に戻るのです。
「ま、そういうこともあるか」「ま、何とかなるでしょう」「しばらく、様子を見てみようか」的な発想です。
建物にしても叱りです。
頑丈な免震装置のない鉄筋コンクリートと木造の住宅。
免震装置がない鉄筋コンクリートは、地震の衝撃をもろに受けてしまうので、一見頑丈そうに見えても意外と弱いです。
木造の建物は揺れは大きいですが、その揺れによって地震のエネルギーを受け流してしまう。
これも「バネ」で説明したとおりです。
飛行機の翼もそうです。
もの凄い空気抵抗に翼がパタパタとしなるように対処しています。
もし、しならない頑丈な金属を取り付けたとしたらボキッと折れてしまいます。
この「バネ」や「飛行機の翼」のような「しなやかさ」を「レジリエンス」といいます。
レジリエンスは人間関係でも当てはまります。
ネガティブな人の話を長時間聞いていると、聞いている側の気分も落ち込みます。
そこで、自分が「バネ」になったつもりでレジリエンスを持って話を聞くと余裕をもって相手話しを聞くことができます。
人と対話するとき、作用・反作用の影響でストレスを直に受けます。
人をやわらかく受け入れるのには「バネ」の心で対応するとネガティブ感情を受け流すことができます。
中国の兵法書「36計」の一番最後に書かれているもの、35個の兵法を全て実行し勝てない場合、36番目の最後に「逃げるに如かず」というのがあります。
ありとあらゆる戦略を練っても勝ち目がない場合は「逃げる」ことで体勢を立て直しする。
「逃げる」ことは決して「敗北」ではありません。
最終的に「勝つ」ための準備期間に過ぎないのです。
日本人は逃げるのが嫌いで、苦手です。
第二次世界大戦もそうでした。
自分で色々と感情をフラットにさせる方法をブログで書いてきましたが(上手くまとまっていなくてすみません。)、最終的に行き着くのはこの「逃げる」ということです。
会社のストレスがどうしても解決できないときは、会社を辞めることです。
ストレスに押しつぶされて体を壊したり、うつ病にかかるくらいなら逃げてしまったほうが得策です。
心身の健康を失ってしまえば、普通に生活することすらできなくなってしまいます。
「辞める」と決意することと「辞める」との間では大きな隔たりがあります。
「すぐに辞めなさい」ではありません。
まず、辞めるという選択肢を考えてみるということです。
実際に辞めるかどうかは次の話です。
「苦しい」状態にいる人は「抜けないトンネル」感に支配されています。
「苦しい状況」は永遠に続くのではないか、という不安と恐怖です。
今の仕事で非常に辛い思いをしていたとしても、辞表を出して会社を辞めれば、その苦しみからは解放されます。
主導権は辞表を出すあなたにあるのです。
多くの人はどんなに苦しくて「会社を辞める」という選択肢を選ばないものです。
仕事を辞めると、ご飯が食べられなくなる、家族も養っていけない、だから仕事は絶対に辞めれないと、、、
しかし、それでは後戻りすることも、離脱することもできないです。
だから強烈な「抜けないトンネル感」に支配されてしまいます。
その思いが今の苦しみを何倍にも増幅させるのです。
ブラックに勤めていて、死ぬほど辛いのに仕事は絶対に辞められない。
そんな限界状態が長く続けば、自殺を考えてもおかしくはありません。
そこで会社を辞めるという選択肢を念頭に置いてみます。
本当に苦しい、もうこれ以上無理だと思ったら辞表を提出しようとです。
そう思った瞬間に「苦しい」状態だったのが緩和されているのに気が付くことができます。
抜けのないトンネルが抜けのあるトンネルに感情がリセットされます。
ところが、こんな会社なんかいたくない、こんな会社辞めたいと苦しい気持ちでいっぱいの人は、今の会社の悪いところ探しをしています。
給料が安い、残業手当も出ない、長時間労働、上司の性格が悪い等々。
しかし、いったん会社を辞めようと思った瞬間に見え方が逆になります。
月収25万は安いが、辞めたら0になる、上司は嫌だが、自分に好意を抱いてくれる同僚や部下がいる等。
辞めると決めることで「悪いところ探し」から「良いところ探し」のビジョンに切り替わるのです。